過労死Pの連日定時帰り

ニコニコ動画のブロマガから締め出されてきました。

催眠音声作品を作りました。

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推しに出会える催眠音声

 以前から作ってみたいなと思っていた催眠音声作品を作りまして、DLsite.comなどで公開中です。販売ページは以下のリンクからどうぞ。

 

 普段オフ会などでやっている、アイマスのアイドルに幻覚暗示で出会う催眠術を音声作品に落とし込みました。

 体験版も公開中です。音声だけで催眠術に掛かれるのか半信半疑な方は以下のリンクからお試しください。
 作品冒頭の、身体が固まるとかイスから立てなくなるなどの催眠術が体験できます。もし現象が現れた場合は催眠術にかかる才能をお持ちですので、ぜひ続きを購入して推しに出会ってみてください。

 

 日々、同人音声のレビューを掲載している『同人音声の部屋』さんにもレビューしていただけたので、客観的な評価が知りたい場合はリンク先を参照してください。

doonroom.blog.jp

 

 浅利七海合作をキッカケに催眠術に興味を持って、催眠術を学び始めたのが2017年の11月頃なので、約4年分の実績をお見せできている!……はずです。おそらくね。きっと大丈夫試聴してくれた人がかかったって言ってたもの。
 自分自身が催眠術にかからないタチなので、自分で作ったものがどれぐらいよいものなのかがイマイチ把握できてないんですよ。ぜひ良しでも悪しでも評価をお寄せください。

 

 今回、ボイスは「ありがた~い私」様に依頼しました。
 台本本文9000文字に対して、ト書きが3000文字近くある注文の多い台本をキッチリ表現してくださいました。催眠音声としてのナレーションはお初だったとのことですが、優しい声色で丁寧に仕上げてくださいました。

 イラストはココナラを通じて「くらげそ」様に依頼しました。
 ポートフォリオアイマスメインだったので『推しに出会う』ことの良さを理解してくれるだろうと考えました。どのような『推し』にも対応できるように、目元を描かない人物のイラストを。というなんとも表現しにくそうな発注に対して百点満点の納品をしていただけて大変満足しております。

 

 以下、作品解説をしていこうと思います。興味のある方は続きをお読みください。

 作品コンセプトは「推しに出会う」と「幻覚暗示」です。
 催眠音声作品で幻覚暗示を目標に掲げている作品はDLsite内にはわりと少ないです。検索するとなくはないのですが、私が目標にしているものとは異なっていました。
 催眠術の幻覚暗示では、目の前に存在しないものを『見る』ことができます。この面白さを体験してもらえるような作品にしようと制作に取り掛かりました。

 で、いくつかの既存の催眠音声作品を参考にしたのですが、どれもいまいちピンとこない。まぁそもそも私が催眠術にかかりにくいのがよろしくないのですが。多くの作品はベッドに横になって身体を脱力させて深呼吸をし、意識レベルを落として作品を視聴する。という形式です。
 このような形式だと作品に集中すればいいのか意識を無にすればいいのか、そのバランスがつかみにくいんですよね。たぶん一度催眠状態を自覚できれば、それ以降はすんなり行けるんでしょうけれども、その一度が難しい。誰かコツを教えてくれ。
 そのため、そういった既存作品の手法を参考に制作すると、ただでさえ催眠術にかかりにくい自分が当てずっぽうに近いスクリプトを作ることになってしまうため、既存作品を参考にするのはヤメにしました。
 普段私は対面催眠で幻覚暗示をしているのだから、その対面催眠の手段を音声作品に落とし込めば、他の作品とも差別化ができて他の作品に慣れている人にとっては新鮮だし、私のように既存の音声作品で催眠術にかかれなかった人に新しい可能性を提供できるし、少なくとも対面催眠で実現できていることなんだからそのフィードバックを元にスクリプトを作れるので台本がめちゃくちゃ書きやすい!!!ということで良いことづくめです。特に最後。

 

 この作品はイスに座って視聴します。「目の前に推しが現れる」というコンセプトの都合上、寝ながら聞く体勢だと推しの出現位置がよろしくないためです。そして初期誘導は凝視法を使って、明るい部屋の中で目をガッツリ開けて催眠術にかかる構成となっています。
 大抵の催眠音声は部屋を暗くしてベッドに横になり目を閉じて聞くものが多いですが、本作はそのへんのセオリーを全く無視しています。それが良いほうに出ているか悪いほうに出ているかは聞いてくれた方の評価待ちです。上記の手法は対面催眠だとわりとポピュラーなので、イケる可能性は十分ある!……はずです。おそらくね。

 音声作品は音声なので暗示が一方的です。対面催眠のように双方向でのやりとりができません。一方的なアナウンスでも催眠の内容を取り違えたり破綻しないようなスクリプトになるようにかなり気を使いました。
 例えば上記の体験版の内容にもある『手が固まる催眠』では、以下のような言い回しをしています。

指が固まったので、次は手が固まるか確認してみましょう。
また利き手を使います。

一度手をぶらぶらーっとさせて握りこぶしを作ります。
もし爪が長い場合は指を握り込まずに、折りたたむだけでも大丈夫です。
そして、親指を立てます。
サムズアップ、『イイね』の形を作りましょう。
それではまた、手を見やすいところに持ってきます。
どこか一点の、注目しやすい場所を見つけます。
親指の爪とかシワの部分などが見やすいでしょうか。

 この箇所は当初、3行目の『握りこぶしを作ります』だけで、次のステップの「どこか一点の、注目しやすい場所を見つけます。親指の爪とかシワの部分などが見やすいでしょうか」に進んでいました。理想的な手の形は「コイントスをするときのようなグーの形」です。「親指の爪やシワの部分」とほのめかす注目点が視界に収まりやすいからです。
 しかし、「握りこぶしを作ります」の一言ではその形に定まり得ないことに気づきました。例えば視聴者が親指を握り込むかたちで握りこぶしを作っていたら「手の形間違えた?」と余計な思考をさせてしまいますし、「親指の爪を見る」と余計なことを言っているので、手の甲を見るようなグーだったら手首を反転させて、自分自身にグーパンするような手首のひねりをする必要が出てきます。そのような「これで合ってるかな?」と思考させるのは顕在意識が優位になるので催眠術には不適です。

 かと言って上の段落のように長ったらしいテキストで「グーの形」を指定するのはテンポが悪い。そこで『サムズアップ、イイねの形を作りましょう』という一文を追加しました。YouTubeのグッドボタンに代表されるように、『イイね』はこの形で一意に定まります。サムズアップだと補足もしているので、自然と親指は天井を指します。その状態で「親指の爪を見る」と指示すれば、視聴者側での修正はせいぜい手首の角度を微調整する程度なので余分な思考が働きにくくなります。

 

 暗示の内容は視聴者自身が実感を得やすいものにしました。指が固まる、手が開けないは結果の認識がしやすいですね。
 普段の対面催眠では筋肉硬直の催眠術のあとに「つい笑ってしまう催眠術」で感情支配に移行します。しかし、催眠音声は基本的に自室で一人で視聴するものです。自分ひとりしかいない部屋で音声聞いてクスクス笑うのってなかなか抵抗ありませんか?
 笑ってしまう催眠は結構大きな音量でゲラゲラ笑うパターンもあります。アパートなどで聞いている場合、隣の部屋の騒音になってしまわないか、気にしてしまいそうです。余計な思考は働かせたくありません。
 対面催眠の場合、いざとなったら止めてくれる術者が目の前にいるからこそ安心して催眠術にかかれるという面もあるのでタガが外れて騒ぎになることはないのですが、一方的なアナウンスしかできない音声作品だとどうでしょう。
 ストップ役がいない場合、自分自身で止める形となります。つまり冷静になって催眠術から覚めます。ということは、その時点で催眠が解けてしまうのでその後の催眠誘導に支障が出ます。
 催眠誘導に支障は出したくない。けれど幻覚暗示に誘導するのに運動支配→感覚支配→記憶支配のステップは欠かせない。しかし感情支配の催眠認識を一方的なアナウンスで確定させることは難しい。
 これらを解決するために、トラック07で『重さを感じる催眠』を取り入れました。

 『重さを感じる催眠』では推しの写真を使います。推しの写真を見ていると大切にしている思いが集まり、その写真が重く感じられて腕が下に下る。と暗示しています。
 人を大切に思う気持ちは重さで表現されることがあります。その重さと実際の重力をコジツケして運動支配と感覚支配を同時に暗示しています。
 「推しが大切なほど写真が重くなる」とかなり卑怯な言い回しも入れているので「大切な推しなのだから重くなるに決まってる」と認識してもらえれば大成功です。

 

 幻覚の暗示において、深化法を入れたあとは「誰かの人影が見える」「あなたにとってそれが誰であるか分かる」という言い回しを使っていて、『あなたの推しが目の前にいます』という言い方を避けています。
 視聴者にとって、催眠術を使ってでも会いたいと思っている大切な人です。その呼び名が『推し』で確定しているとは限りません。アイマスPなら『担当』かもしれませんし、ギャルゲなら『俺の嫁』かもしれません。そのような齟齬を避けるために『人物』の表現で可能な限り待ちを広くしています。
 幻覚対象を『人物』としてしまうとヒト以外の存在に対応が難しくなりますが、作品のメインイラストがヒトなので、ヒトじゃない推しは今回の作品では対象外とさせてもらうことで割り切りました。なので商品説明文にも念の為「ヒト型であると望ましい」としておいてあります。……実際そこまで配慮する必要があるかは知らん。

 トラックリストにも記載がありますが、『推し』との交流は会話、握手、歌を披露してもらう、感想を述べる。と濃厚な握手会とか2人だけのファンイベントのようなものとしました。スクリプトを制作するにあたって最大公約数を考えるとこのぐらいのメニューが限界かなと。
 ネタ出し時点では推しの早着替え/衣装チェンジとか、推しが手料理を振る舞うとかの案もありましたが、どんな推しにも適するネタではないかなぁと。
 普段の対面催眠であれば、幻覚で見ているのが誰であるかがコチラも分かっているのでその人物に適したシチュエーションを提供できるのですが。事前に用意した決め打ちではちょっと結果が見えにくいのです。

 推しとの会話を楽しむ催眠では、『もし声に出しづらいようでしたら心のなかで唱えるだけでも大丈夫です』と声出しへの配慮を入れてあります。
 普段の対面催眠でもよく使うテクニックなのですが、いざ推しと会話するぞとなると結構照れくさいものです。声に出すのをためらっているうちに冷静になって催眠から覚めてしまうこともあるので、声が出せないなら心のなかで唱えるだけでOKと補足しています。音声作品は暗示のタイミングも決め打ちなので視聴者がためらっているかも不明ですから、頭の中で喋る内容を考えただけでも会話成立と定義しておくことで、その続きである『推しからの返事』の暗示を入れることが可能になります。
 また、上で触れた笑い催眠への配慮と同じで、一人自室でブツブツ言うのに抵抗ある人もいるかと思いますので。ニンテンドーDSのマイク機能のあるゲームで「今、声を出せる状況ですか?」とよく聞かれていたのがこの配慮に繋がりました。

 

 トラック13:推しに出会える催眠を終える準備 というのは、まあつまり幻覚の推しとお別れして催眠術を終了するパートなのですが、スクリプトを書くのに一番時間かかった部分な気がします。
 催眠をかけるのとは異なり、催眠を解くのはまぁ一瞬でできるんです。「催眠が解けます、ひとつふたつみっつ」で必要十分です。ただ、せっかくの推しとの出会いをそんなあっさりと終わらせてしまうのはもうしわけないです。
 あくまで一時的なさよならであり、いつでもまた会うことができる。というニュアンスと、名残惜しさをたっぷり含ませた丁寧なさようならの挨拶をするスクリプトにしました。声優さんに依頼した台本にもそのあたりのト書きを入れ、理想通りのナレーションをしていただけました。

 

 催眠音声という自分にとって初めてのジャンルに挑戦してみて、発売後約10日で60DLと、新人サークルの処女作にしてはかなり買ってもらえているなと感じています。これまでの個人制作の同人誌は50部作って40部ぐらい持ち帰るのが常だったからね。とてもすごい進歩だと思う。
 今作のフィードバックを元に新たな催眠音声作品を作ってみようかなと思いはするけれど、俺がモノづくりするとたいてい一作で持ってるネタ出し尽くしてそれがベストだと自負してしまって次作にネタが続かないんだよな。とはいえ作品が売れることへの味を締めたのでもうちょっと頭をひねってなにか絞り出してみようと思います。


 ツイッターに感想を投稿してくれている方もいるので、視聴者の反応はいずれ別記事にまとめたいですね。自分が読みたいだけなので記事を公開するかは不明です。